9/6には、JR新杉田駅からシーサイドラインで1駅の南部市場駅近くにある横浜市南部市場の自主上映会「市場deシネマ」に参加してきました。市場内のナンブベースという共用施設で2月に1回程のペースで開催されます。館長は市場内の鮮魚卸売店の店長さんです。観終わったら、シェアタイムという、観客一人ひとりが感想を言い合い、皆で共有するというオプションがあります。私は、食品ロス低減を目指して「市場deシネマ」ができた頃からあれこれ20年程通っています。
今回の上映はアムステルダム在住のクリエイティブディレクタ瀬沢正人氏が総指揮して制作した「リペア・カフェ(The Repair Cafe)」(2024年作品)でした。30分の短編ですが説得力のあるドキュメンタリでした。内容や背景は下記(注)の通りです。
アムステルダムには40〜50の「リペア・カフェ」があるそうです。オランダ発祥だそうで公会堂などの施設を使ったボランティア活動の一環として定期的に無料で様々な品を修理する会(カフェ)がもたれているそうです。最近では、「リペア・カフェ運動」がEU諸国に広がり3,000~4,000程の会が活動しているとか。それぞれの会のネットワークや連携も進んでいるとのこと。この動きが元になって2024年7月にはEUで消費者の「修理する権利」が規定され、消費者が製品の修理を簡単にできるようにするために「製品の修理を促進する共通指令」が施行され、テレビ、掃除機、携帯電話など11種類の家電について、購入から最大10年間、メーカが修理サービスの提供を行いうことが義務付けられました。
製品の設計段階からごみが出ることを防ぎ、資源を高い価値を保ったまま再利用して循環させ、自然を再生していくサーキュラー・エコノミーの推進する上で、最小限のエネルギで製品の寿命を延ばす「リペア」は重要なカギとなることが、6つの事例(ネックレス、パンツ、掃除機、スピーカ、自転車、オモチャなど)で、うまくリアルに表現されていると思いました。
EUの共通指令施行と同じ2024年7月には日本でも、サーキュラー・エコノミーに関する関係閣僚会議が開かれ、リペアを通じて地域活性化やライフスタイルの転換の必要性が議論されているとか。
こういう動きは、欧州のみならず、日本でも拡げる必要があるように思いました。商品が高機能化、複雑化しているので「修理しにくい」現状もあり、難しい分野もありますが、一時期言われた日本発の「モッタイナイ」の再興でしょうか。
映画の中でも「新しく買わないことが勝利なんです」、「モノ以上のものを修理している」、「地球の健康状態を示すプラネタリバウンダリが限界を迎えつつある現代では修復や再生を通じて消費を減らし持続的な社会を築くための変化がこれまで以上に必要になっている」、「シニア世代には修理しながら使いたいものが周りに多い」などの会話/メッセージが印象に残りました。
上映後のシェアタイムで観客の一人が言われていたことで、「モンゴルでは、交通事情が広大で(日本のJAFのような)駆け付け保守が難しいため、運転免許科目に修理技術を含めてある程度の修理はドライバ自身でできるようにしている」と言われていました。リペアカフェをさらに進めると、修理しやすい製品を作る、さらにその先には、消費者自身の修理技能を上げることも分野によっては必要なのかもしれません。ある意味ではネットによる修理ノウハウの共有による、高騰化した修理ビジネスの一般市民による「民主化」(低価格化と利用者の拡がり)の動きと見ることができるかも知れません。
関連するドキュメンタリ「リペア・カフェ」特設ホームページは下記の通りです。予告編などがあります。
https://ideasforgood.jp/documentary-repair-cafe/

映画「リペア・カフェ」のチラシから
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(注) 映画「リぺア・カフェ」について (関連HPから引用・編集)
・映画の概要
「修理したいのはモノだけじゃなかった。」
お店では修理を受け付けてくれない壊れた家電や服、自転車など、あらゆるものを地域のボランティアが無料で直してくれる、
オランダ発祥のリペア・カフェ。実は彼らの役目は、モノを修理するだけではない。
離れ離れになった家族の「思い出」、疎遠になりつつある地域の「コミュニティ」、
捨てることを前提に成り立つ消費社会の「システム」…
リペア・カフェにはどのような人とモノが集うのか?壊れかけた「モノ以上のもの」を直す人々の物語がここにある。
・あらすじ
映画『The Repair Cafe』は、オランダで生まれた「リペア・カフェ運動」を追ったドキュメンタリー。
その制作背景を紹介します。
あなたの周りに眠っている、壊れたままのものはありますか?
ほつれたニット服、ひび割れたタブレット、小さい頃に遊んだおもちゃ……それぞれに思い出やストーリーがあるでしょう。
しかし、大量生産・大量消費が前提となる社会では、私たちは、気付けばモノが壊れたら新しいものに買い替えるのが当たり前になっています。お店で修理を頼むよりも新品を買う方が安かったり、自分で修理するのが難しかったりすることもあります。
そんな壊れた家電や服、自転車など、あらゆるものを地域のボランティアが無料で直してくれる場所があります。
その名もRepair Cafe(リペア・カフェ)。
IDEAS FOR GOODが贈る、初のオリジナルショートドキュメンタリー『リペア・カフェ』は、そんなリペアカフェ発祥の地であるオランダ・アムステルダムを舞台に、彼らの活動に密着。その中で生まれたコミュニケーションから、私たちの身の回りにあるモノと人との関係性や、真の豊かさを見つめ直します。
・ディレクタ瀬沢正人氏からのメッセージ
アムステルダムのリペア・カフェを初めて訪れたのは、2022年秋にオランダを旅行しているときのことでした。そこに来ていた車椅子のおじいさんが取り出したのは古い壁掛け時計。故障を調べている修理人を見たとき、「彼らが本当に直しているのはモノだけではなく、思い出なのかもしれない」と私は考えました。
一年後、アムステルダムで暮らし始めた私はリペアカフェでの撮影を開始しました。すると「思い出」だけではなく、孤独が問題となる都市の「コミュニティ」や、競争と消費が無限に拡大していく「社会のあり方」など、多くの「モノ以上のもの」を彼らは“修理”しようとしていることに気付いたのです。本作品では、そうしたリペアという営みから生まれる多様な価値を映そうと試みました。
制作中、私もリペア・カフェに影響され、画面の割れたスマホや壊れた腕時計を自分で修理しました。修理という行為には、創造力が試されます。そして、修理をしたら「3年前に買った型落ちのスマホ」が「自分が修理した大切なスマホ」に変わりました。リペア・カフェで出会った人たちは、今では大切な友人になっています。
この作品が、自分の身の回りのモノへの見方が変わったり、モノにまつわる誰かのことを思い出してもっと大切に思えたりする、そんなきっかけになれたら幸いです。
関連URL:
予告編: https://repaircafe-movie.com/
https://www.cinemo.info/137m?fbclid=IwcGRvZgFleHRuA2FlbQIxMABicmlkETFWTHdjYkUySXNNWFFmTTlHc3J0YwZhcHBfaWQQMjIyMDM5MTc4ODIwMDg5MgABHrN8-cWfTbPCpDGM_VpiAKCCK7G5igCsuChGJBgbwrg0SnGtsLSkNCTzGyrx_aem_N4UODq6qb-fUTQs8nLchMg
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