昨日は、9/17まで開催の「北斎づくし」展の鑑賞に、東京ミッドタウン・ホールをたずねてきました。コロナで都心に出かける機会も減り久々に六本木に出かけました。北斎の生誕260年記念企画だそうですが、オリパラ開催期間と重ねてオリパラ観光客を期待したイベントのようにも思えます。入場時間を30分毎に割り当てるオンラインチケット制などコロナ禍対策がうかがえ、期限終了間近にしては適度な混み具合で館内はなかなか快適でした。北斎漫画、富嶽三十六景、富嶽百景の晩年の3つの代表作がフルセットで丁寧に展示される一方で、今風にアレンジ(空間展示やアニメ化など)した企画も斬新さを感じます。
感心したのは、北斎の多作のエネルギーです。北斎漫画は55歳、富嶽三十六景は61歳、富嶽百景は75歳からの大作だそうです。当時の平均年齢からみても晩年の力作で、画業への並外れた執念とエネルギーを感じます。75歳以降にも富嶽百景の新しい画材を求めて全国を旅し、この間にとりわけ37回引っ越しているのには驚きです(90年の生涯で93回転居したそうです)。83~88歳には信州小布施に移り江戸と何度も往復しているそうです。カメラもないこの時期にこれだけ多くのの風景画を現地でスケッチ、制作するのは大変なことと思います。
また、立ち上げたばかりの北斎派の多くの弟子たち向けの習画手本として作られた北斎漫画の精緻な一筆画きの線使いとひとつの画材(役者、大工、武術家、踊り手、蕎麦屋などの様々な職業人、動物、魚、虫など)を色んなポーズ、角度から沢山描写していることです。これが絵の上達のコツだと言っているように思えました。
さらに、これだけの大量の版画を出版する業界が江戸後期の当時にあったことです。多数のレベルの高い彫師、摺師、印刷所が北斎のような作画者の回りの市中にいたことに驚きました。
会場では珍しく富嶽三十六景以外は撮影可能でしたので、印象に残った写真をアップします。
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