先回のお盆の頃の帰省では、最後の日に、親族が集まり夕食会をしました。その場所が、実家からすぐ近くにある「松栄館」でした。
ここは、明治37年開業の地元の老舗旅館です。昭和50年代頃までは、松栄館、白糸、松月、という、かつての海軍御用達の名残をひく大規模な割烹・旅館が3店、浜地区に集中してありましたが、いまは松栄館だけが残っています。昨今の宴席需要を反映しているようです。
松栄館も、南側半分は建て替えられ10階建てのビジネスホテルに生まれ変わり、古い松栄館は、改装されつつも北側半分に木造2階建てのままの和洋折衷の建物として残っています。
創設の頃には舞鶴鎮守府初代長官の東郷平八郎をはじめ、旧海軍関係者が多く利用していたそうで、直筆の掛け軸も館内に多く残されています。国内の旧軍港の町には、同じような風景があるようで、横須賀でも「小松」という古い割烹・旅館があり、東郷長官や秋山参謀の掛け軸や記念品を見たことがあります。
ここは、明治の面影を残す建物として「飢餓海峡」、「海賊と呼ばれた男」や「日本のいちばん長い日」などの映画のロケ地としても利用されたとか。
我が家でも、法事の度に、法要の後に親族が会食をする仕上げの場などとしてここをよく利用してきました。1階の大広間は、以前は広い畳の間でしたが今はテーブル席となっていました。ただ、その奥の能舞台は今も保存され、往時が思い出されます。
父が、松栄館のご主人に謡曲を習っていたことがあり、小さい頃に、この能舞台での練習風景をみに連れてこられたことがありました。
この日はなかなか美味しい洋食メニューでしたが、このほかに、ここのメニューには「海軍割烹術参考書」を忠実に再現した「海軍カレイライス」、「ビーフシチュウ」や「肉じゃが」(舞鶴と呉で元祖を競っていると聞きます)が「海軍料理」として並んでいることもユニークなところです。
松栄館については、先回帰省の4/8に、玄関風景などの記事を下記にアップしていました。
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