2/27には、元上司のMさんから案内をいただき都内水道橋駅近くにある宝生能楽堂で例年催される淑宝会春季大会に参加してきました。Mさんはもう20年近く信州須坂を中心に修練を積まれ、毎年この時期にここで演じられて、これまで都度鑑賞させてもらってきました。今年は仕舞「玉葛」を披露されましたが、何年か前には「羽衣」のシテ(天女の役です)もつとめられたことがあります。今年は、同じく「羽衣」が別の方のシテで演じられました。下記のような羽衣伝説をベースにしたこの演目は、春の海、白砂青松、天女の舞い、遠く臨む富士山などで、丁度この時期にマッチした春の能でした。協演の大鼓・小鼓、太鼓、笛、地謡のバック(囃子)も均整がとれ印象的でした。
ただコロナ禍のなかで、様々なコロナ対策をされながらもプログラムのいくつかは中止され、惜しまれるところです。
写真1枚目は、「羽衣」で天女が羽衣を返して欲しいと頼むシーンで、2枚目は羽衣を着て天女が舞うシーンです。3枚目は、帰宅途中に近所の高台で見かけた黄昏の富士です。
<参考> 能「羽衣」のお話(解説から)
春の朝、三保の松原に住む漁師・白龍(はくりょう)は、仲間と釣りに出た折に、松の枝に掛かった美しい衣を見つけます。家宝にするため持ち帰ろうとした白龍に、天女が現れて声をかけ、「それがないと天に帰れない。その羽衣を返して欲しい」と懇願します。白龍は、はじめ聞き入れず返そうとしませんでしたが、悲しむ天女の姿に心を動かされ、天人の舞楽を舞うのを見せてもらう代わりに、衣を返すことにします。ここで、羽衣がない舞えない、と天女が言うと、「羽衣を返したら、舞を舞わずに帰ってしまうだろう」、と言う白龍に、天女は、「いや疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」と返します。正直者の白龍は、そんな天女の言葉に感動し己を恥じ、衣を返すのです。羽衣を着た天女は、月宮殿での生活の面白さを表す舞いなどを見せ、さらには春の三保の松原の景色を讃えながら舞い続け、やがて彼方の富士山へ舞い上がり、霞にまぎれて天空に帰っていきます。
この日は、7,800歩コースでした。