5/30には、一節切尺八(ひとよぎり)の対談と演奏会「一節切尺八を知る!コンサート」に、江東区のティアラこうとう小ホールで参加してきました。地下鉄半蔵門線の住吉駅から歩いて5分程のところにあります。駅の傍の猿江恩賜公園(さるえ)(注1)の中にあります。
一節切尺八は、長さ30㎝、直径2.5cmほどで、筒の真ん中の少し上(歌口側)に一節だけを含む真竹で作られた小さな5孔の縦笛です。平安期に雅楽楽器から分かれ、宮廷以外でも吹ける普及版として広がり室町期には僧や武家に好まれ、江戸期には庶民にも普及したそうです。今でいうと、篠笛を縦笛にしたような外形です。今も米澤上杉家や薩摩島津家には現物が残っているそうです。この会場でも、島津家の13代当主でもある島津義秀氏が薩摩琵琶と一節切尺八を演奏され、米澤新田藩第9代当主の上杉孝久氏が先祖より伝わる一節切尺八を紹介されていました。信長公、謙信公、信玄公、一休和尚、琵琶法師ほか、戦国武将は一節切尺八を愛奏したそうです。その後、江戸中期に現在の一尺八寸の尺八の原型として定着したとか。
一節切尺八の歴史に関する対談や伝わる5種の調子(管の長さ)での古曲演奏(注2)も、いつもの尺八演奏会とは違って、楽器の由来を知り、一節切尺八に近い雅楽尺八、三節切、普化尺八の音色を聴き、聴き比べ、調子の違いを感じる場で、珍しく教育的な企画でした。
今年が一節切尺八の中興の祖大森宗勲の没400周年にあたり、今回の企画はそれを記念するイベントシリーズの一環で、この日が京都に次いで2回目とのこと。今回の企画が「庶民的で子供にも扱いやすい楽器 一節切尺八をこの時代に再度蘇えらせて尺八文化を子供世代で盛り上げたい」との主旨で関係者が集ったとのこと。素晴らしいことだと思いました。
大分前私も30~40歳代で横浜杉田の教室に通った三橋先生の発案、企画、制作だそうで、旺盛な創作意欲にはいつもながら感心します。この日も対談に演奏にと、元気一杯でした。
そこで、一句、
一節切古曲奏でる夏木立
この日は、電車移動が長く、6,500歩コースでした。
猿江恩賜公園は、東京都江東区にある都立公園で、歴史的に貯木場としての役割を持っていました。江戸時代には徳川幕府の貯木場として使用され、その後明治政府の御用達の貯木場となりました。
当初は、壱越、平調、双調、黄鐘、盤渉の5種類の調子の一節切尺八が存在し使い分けていましたが、後世には黄鐘管だけに集約されることになりました。つまり各調子の曲を黄鐘管一管で吹き分ける必要が生じたと考えられています。このために第一孔と第三孔の位置が曖昧な形になったと推測されています。今の尺八では2オクターブの音域が出せますが一節切尺八は1.5オクターブと限られ単独演奏とともに歌曲の伴奏として使われていたそうです。
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