先日には、この夏に観ておきたいと思っていたドローンをテーマにした映画「ランド・オブ・バッド」を猛暑の中でしたが、横浜で観てきました。
この映画は、フィリピン沖の島に立てこもるテロリスト集団に拉致されたCIAエージェントの救出任務に、米軍特殊部隊デルタフォースの3人で編成されたチームが当たります。実在する戦闘ドローン「MQ-9リーパー」(注2)の支援を受けて、多くの抵抗と損害を受けながらもぎりぎり救出し脱出するという、半分リアルな戦争アクションでした。
知りたかったのは主人公の演じる「航空支援連絡官(JTAC:Joint Terminal Attack Controller/統合末端攻撃統制官)」の存在と役割です。この映画では、JTACは米空軍所属の下士官(軍曹)でしたが、米軍では空軍・海兵隊・海軍などがそれぞれ専門の訓練施設でJTACを養成しているとか。自衛隊からも要員を送り込んでいるそうです。
JTACは、「精密攻撃」の中で地上部隊とドローンによる近接航空支援をつなぐ重要な役割を担っていて、前線の眼であり、誤爆を防ぐ戦闘の声だそうです。映画でも、彼らの存在が戦術の要としてある作戦事例を通してリアルに描かれることに驚きました。(注1)
最近、ドローンをテーマにした映画が幾つか公開されています。ドローンにも興味のあるいち映画ファンとしては、これまでなんとかフォロウしてきています。思いつくところでは、以下があります。
・『ドローン・オブ・ウォー』。戦場にいない兵士の遠隔操作による現代の戦争の倫理的ジレンマを描いた作品でした。
・『エンド・オブ・ステイツ』。群状に編隊飛行するドローンによる爆撃が物語の鍵を握るアクション映画。現実の戦争技術とのリンクも話題になりました。
・『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』。ドローン攻撃の是非を巡る軍事サスペンス。少女の命とテロリスト排除の間で揺れる決断が描かれていました。
・『DRONE/ドローン』。連続殺人鬼の魂がドローンに乗り移るという異色ホラー映画でしたた。
進化するドローンは単なる無人航空機にとどまらず、地上前線のJTACとの連携(戦場で航空機に対して「どこを、いつ、どう攻撃するか」を直接指示する近接航空支援とともに攻撃の最終的な許可と中止の判断をするクリアランスコールの役割ももちます)により、現場の人間の精密な判断力をもった”遠隔有人”航空機になろうとしているように思いました。ドローンの進化とともにドローン映画の進化も期待したいところです。
また、映画を通して、JTACとドローンの関係は、これからの人間と生成AIとの係わりを示しているようにも思いました。
この日は、映画と暑さもあって(言い訳ですが) 5,200歩コースでした。
(注1)映画「ランド・オブ・バッド」のあらすじ
舞台は、イスラム過激派の拠点となっている南アジア・スールー海の孤島。
米軍特殊部隊デルタフォースは、拉致されたCIAエージェントの救出任務に乗り出します。
その部隊に加わったのが、航空支援連絡官(JTAC)として初任務に臨むキニー軍曹(リアム・ヘムズワース)。
しかし、目的地到着直後に反政府ゲリラの襲撃を受け、部隊は壊滅寸前に。
孤立したキニーが頼れるのは、遠く離れた空軍基地からMQ-9リーパー無人機を操るベテラン操縦官(元空軍パイロット)、グリム大尉(ラッセル・クロウ)のみ。
通信とドローン映像を通じて、ふたりは「空の眼」で戦場を俯瞰しながら、脱出と任務遂行に挑みます。(映画.comから引用)
(注2)「MQ-9リーパー」の機能
中高度・長時間滞空型(MALE型)、固定翼形式の遠隔操縦形UCAV(Unmanned Combat Aerial Vehicle:無人戦闘航空機)。最大飛行高度は約 15,200メートル、通常の監視運用高度はおおよそ 6,000〜12,000メートル。これは地上からの視認や射程を避けつつ、センサ性能を活かせるバランスの取れた高度。昼夜、曇の有無を問わず高倍率ズームカメラにより中高度からでも人物や車両を識別できる。
MQ-9にステルス性はなく、大型でプロペラ音もあるため中高度での運用を基本とし、地上からは肉眼で見えず、音も届きにくい空域で活動する。「隠密性」よりも「持続的な監視と精密攻撃能力」に重きを置いた設計となっている。20時間以上の滞空能力をもつ。操縦は空軍基地内の地上ステーションにて2名(操縦+センサ操作)で行われる。
「リーパー(Reaper)」は「刈り取る者(収穫者)」の意味から転じて「任務を完遂する者」「成果を収穫する者」の意味とともに、黒いローブをまとい大鎌を持った死の象徴としての「死神(Grim Reaper)」の意味も含まれるとされる。
日本では、2022年に鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地で米軍により運用されていたが、その後、沖縄・嘉手納基地へ移転し洋上監視任務などに活用。 今後の導入も計画されている。(関連HPから引用、編集)
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