1/11には、今年の初映画を横浜シネマリンで観てきました。毎年この時期にはその年の正月映画から好みの映画を観ることにしています。この日は珍しくえらく混んでいました。
今年は、昨年後半から気になっていたドキュメンタリ「ネタニヤフ調書ー汚職と戦争ー(The Bibi Files)」が近くのミニシアタの一つ シネマリンで上映中と知り、今年の正月映画に選びました。Bibiはベンヤミン・ネタニヤフ首相の愛称とのこと。
この映画の出発点は、イスラエル警察が 2016〜2018年に行った現職のネタニヤフ首相の汚職捜査の尋問映像 が存在していたことです。これらの映像は当時一般には公開されておらず、イ
スラエル国内でもプライバシや法的制約から公開が制限されていたそうです。
ところが、 2023年春ころ, ある人物がこの未公開の映像を メッセージアプリ「Signal」を通じて映画プロデューサのギブニーに極秘でリークしたのが、映画制作の直接的な契機となったとか。ギブニーはこの素材の重要性に気付き、制作に乗り出します。監督としてブルーム を迎え、制作を本格化させました。
この点は、2013年に米国国家安全保障局(NSA)による大規模な機密監視活動に関する内部情報をリークし内部告発したスノーデン事件に酷似しています。これも大きな話題となり、映画にもなりました。今回の件ではリークした人物については一切触れられていませんが。
監督のブルームは、尋問映像に加えて、公私でのネタニヤフ首相周辺の人物や政治的な内部事情を知る関係者への取材を行っています。作品には元首相の側近や政界関係者、ジャーナリストらも登場し、さまざまな視点からネタニヤフ首相の政治姿勢や汚職疑惑、その後の影響が語られています。
疑惑の論点ごとに、リークされた映像から捜査官の尋問、尋問される側の証言が切り出され、それに対して取材した関係者がコメント、反論する、というサイクルが繰り返されるという構成で、フェアで説得力のある映像と思いました。関係者にはネタニヤフ首相に批判的な元イスラエル首相、イスラエルの国内諜報機関シンベトの元長官、ネタニヤフ首相の元広報担当、国内の調査報道ジャーナリストたちが含まれます。ニュースでなくドキュメンタリ映画として主張を明確にするためとはいえ、刑事裁判で係争中の事案ですので、多少は首相を擁護する論者も含めてもよかったかもしれません。
なかでも印象に残ったのが、証言の中で首相が、映画「ゴッドファーザー」のセリフ「友を近くに置け、敵はもっと近くに置け」(「敵を遠ざけるのではなく、近くに置いてこそ、その危険性を把握し、自分の身を守れる」の意)を引用する様でした。この考え方が、現政権の財務大臣と国家治安相に急進右派の人物を任用していることに繋がるように思われました 。一見関係の薄い汚職疑惑と戦争が現実には繋がっていく過程が側近の眼線でリアルに描かれているように思います。
この映画はイスラエルとアメリカの共同制作作品ですが、さすがにイスラエル本国では上映禁止だそうです。欧米アジアでは混乱はあったようですが昨年央に公開され、顕彰候補にもなるなど国際的に注目されているとか。ユダヤ主義やイスラエル・ガザ戦争に対する考え方や立場の違いによらず、遠い国で起こっているひとつの事実経過として一度は観る価値のあるドキュメンタリと思いました。
それにしても、シネマリンの内装が綺麗になっているのには驚きました。経営者が代わって上映映画の趣向もやや変わったようで、業績が好転しているように見えます。ここの古い一ファンとしては有り難いことです。
この日は、5,000歩コースでした。
2026年1月13日火曜日
横浜シネマリンでの今年の初映画
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