2025年1月27日月曜日

初めての奄美大島その4-田中一村と太平洋の270°眺望

1/25には、奄美大島中部の太平洋側にある奄美パーク内の田中一村記念美術館を訪ねました。奄美パークは、2001年に今の奄美空港に移転する前の旧奄美空港の跡地を利用した施設です。旧奄美空港は国産プロペラ機のYS-11機の頃まで使われていましたが、ジェット機には対応できず新奄美空港を建設したそうです。因みに、この施設の館長を元NHKアナウンサの宮崎緑さんがされています。一村の紹介に長く貢献されたそうです。
田中一村は、明治41年(1908)栃木生まれの水彩画家で、奄美の自然に魅了され亜熱帯の植物や魚を題材に日本画の新境地を開きました。50歳で奄美に移住し大島紬工場で染色工として働きながら19年間絵を描き続け多くの作品を残しました。死後に高い評価を受け、昨年秋に東京都美術館での「田中一村展」は大きな反響を呼びました。その時の記事を、当ブログの下記にアップしていました。

田中一村展@東京都美術館

描かれた現地で、題材となったアダンやアカショウビン(鳥)などを間近にみながら、ゆっくりと絵を鑑賞するのもまた格別です。絶景でした。
この奄美パークには、「奄美の郷」という、奄美の自然、歴史、文化を映像や展示で紹介する施設もあり、なかなかよくまとめられています。
この日、ツアー最後に「あやまる岬」で太平洋を見渡す270°の眺望を楽しみました。「あやまる」は「謝る」ではなく、丸く盛り上がった地形が綾織りの手毬に似ているため「綾丸」に由来するとのこと。
この日は、バスの移動で少なく、7,200歩コースでした。


前日1/24夜は自由夕食で名護の繁華街に出て、
島料理店「若大将」で地の魚「ヒキ」の
唐揚げをいただきました。鱗が大きく
固そうな魚です。

前日夕に地元スーパーでたまたま「ヒキ」を
見かけました。
奄美のアジ(ガァツン)。目が大きいようです。

奄美一番の歓楽街の屋仁川通り。ホテルの
直ぐそばでした、

あやまる岬展望台から太平洋。以下、左(東北
方向)から順にパノラマ風に観ています。







最右岸。南東方向を観ています。

2025年1月26日日曜日

初めての奄美大島その3-黒糖焼酎と大島紬とマングローブ

 1/23には、奄美群島で27銘柄ある黒糖焼酎のなかで、最近身近でもよく見かける「高倉」、「浜千鳥の詩」、「JOUGO」などを製造する老舗の奄美大島酒造の工場を訪ねました。
黒糖焼酎にも歴史があるようです。戦後8年間の米国占領を経て日本復帰をしたときに、日本の酒税法では黒糖を原料とする酒はスピリッツ類(ジン)となり税率が高いために、奄美の黒糖文化を考慮した支援施策として、米麹を使うことを条件に税率の低い本格焼酎(乙種焼酎)とする、奄美に限った特例措置を講じたそうです。
ただ、味は、他の乙種焼酎に比べると匂いが少なく淡白で、確かにジンに近いと感じます。違うのは濃度のバリエーションで、25°(初級)、30°(中級)、35°〜(上級)の3クラスがあることで、最高で44.5°の「原酒」も商品化されています(法的には45°が上限とか)。アルコールの濃さを楽しめるようです。試しに、ホテルで38°の「浜千鳥」を呑んでみましたが、そのままでは喉が痛くなる感触でした。土産にも「浜千鳥の詩」を選びました。
大島紬(つむぎ)も奄美の特産です。大島紬村で、40工程にもなる反物の制作プロセスを一巡してきました。天然染(泥染め)と手織りが特徴で制作には半年から1年もかかるそうで、一反30から50万円にもなる高級品です。織る前に糸を染める先染めなため布の両面が使えるとのこと。地元で伝統工芸として官民で組織的に大事に保存、継承しようとしていることが伝わってきます。UNESCO世界遺産登録になった背景かもしれません。因みに、「大島紬」というと奄美大島のみの特産品で、伊豆大島にはないそうで、関東から来た人はよく誤認しているとのこと。
さらに南下し、住用町(すみよう)の黒潮の森マングローブパークでカヌーに乗って、雨の中でしたが、オヒルギ、メヒルギの群生を間近に見てきました。マングローブは植物名ではなく、群生地のことをいうそうです。汽水域でよく見る盛り上がった根に海水の濾過機能があるそうでメヒルギが強いとか。この地域では1mの干満差があるそうです。
途中の昼食は、地元の鶏飯((けいはん)でした。錦糸卵、蒸した細い鶏肉、刻み海苔、シイタケなど、様々な具をのせたご飯に、鶏のだし汁をかけて食べる、お茶漬けのような食品です。また、いつも出るパインの漬物やキビ酢(鼻に来る酸っぱさです)も印象に残ります。奄美は豚>鶏>魚の文化の様で牛にはお目にかかりません。


代表銘柄とのこと。この3倍程の商品が
ありました。奄美大島酒造にて。

黒糖焼酎の蒸留装置

ここでも高倉

オウギバショウ。よく見かけます。

大島紬を織り込み中。精密な作業です。

大島紬の泥染め中。こちらは力仕事です。

ここからマングローブ細道に入ります。
干潮時には入れないそうです。ここでよく
ウミガメを見かけるそうです。

雨あがりでした。われらのインストラクタです。
ここらでよくウミガメを見かけるそうです。

さあ、引きあげます。

2025年1月25日土曜日

初めての奄美大島その2ー東シナ海と高倉とウミガメ

 1/23、1/24には、奄美大島北東端の龍郷町(りゅうごう)にある奄美自然観察の森、中央部東側の奄美市大浜海浜公園に出かけました。
この日は、最高21°Cで、前日が地元での彼岸桜の開花日だったとか。大寒とは思えない、上着もいらない天候です。ここの施設の入口で今年初めての桜を観ました。
東シナ海に面した2か所の海岸には、毎年ウミガメが産卵におとずれる場所のひとつだそうですが、産卵する個体数は年々減ってきているとのこと。
奄美で印象的なのが、高倉式の建物が多いことです。人気の黒糖焼酎の名前(奄美大島酒造)でもありますが。「高倉」とは、案内によると以下の通りで、南洋のイメージがします。

南方より奄美大島に伝わった穀物倉で、屋根裏が倉になっています。足柱が高いのは、雨や台風が多いことから、風通しを良くし湿気を防ぐためで、丸柱にしてよく削り磨いてあるのはネズミが上まで登れにようにするためです。また、火災や台風に備え、下の横棒を抜いて倒せるように1本の釘も使われていないことも、高倉の大きな特徴です。

ここの奄美海洋展示館では、保護されたウミガメが飼育、展示されており、アオウミガメ、アカウミガメ(この2種が殆ど)、タイマイの3種が見られるそうで、大きい順です。アオは甲羅が平らで茶色やオリーブ色(アオイのは脂肪層だとか)で食性は植物性、アカは甲羅は厚く起伏のある心臓形、食性が動物性とか。タイマイは茶色の小型で甲羅はべっこうにも加工されるそうです。
南洋植物では、ヒカゲヘゴが北限だそうで、山地の斜面や谷間などで見ます。また、デイゴ、ポックリヤシ、バショウも見かけますが、街中の蘇鉄は貝殻虫の被害を受け枯れた木を多く、対策が必要なようです。


高倉式の休憩所
前日1/22が、奄美での彼岸花の開花日だった
そうです。奄美自然観察の森入口にて。

千年鯛。千年に一度獲れるかどうかという
くらい珍しい鯛、とのこと。

ヒカゲヘゴ。奄美大島が生息の北限だそうで、
移動中にもよく見かけます。沖縄、台湾、
フィリピンが原産とか。「ゼンマイおばけ」
とも呼ばれるそうで、春先に見るゼンマイのくる
くる丸い幼葉が
ヒカゲヘゴの上に幾本か出るのも
見ます。その兆しがこの木でも丸い膨らみとして
みえます。

高さ7~8mまで育ち日影を作ります。奄美
中部の金作原原始林では見上げるヒカゲヘゴ
が見られるそうですが、今回はお預けです。
ヒカゲヘゴの幹は細い根が多数絡み合ったもの
で(葉根)、空気中から水分を吸収するそうです。
茎には落葉した葉のつけ根のあとが小判のように
残り、蛇腹模様を作ります。

浜木綿(はまゆう)も見かけました。

保護されたアオウミガメとのこと。奄美海洋
展示館にて。


蘇鉄が貝殻虫の影響で枯れるケースが
増えているようです。

イトバショウ。奄美や沖縄で古くから栽培
され、奄美ではこの茎からとれる繊維で織った
バショウ布の着物(バシャギン)を戦前まで
着ていたそうです。

南洋の風景です。

奄美自然観察の森の海岸。5〜8月にはウミガメも
ここに産卵に来るそうです。

奄美ロングビーチⅡ

ここにも高倉式の休憩所です。
この時期でも漆の真赤な紅葉が山の随所
で見られます。これから落葉するそうです。

養苗中のヒカゲヘゴの幼木。新芽や若葉は
食用にするとか。

すぐ下が龍郷町の街並みで、その一角に
西郷南洲流謫跡(注)があり、西郷隆盛が流されて
3年間暮らした家が残されているとか。右手前が
龍郷湾、右奥が奄美クレータ、左奥が笠利湾、
その奥は太平洋です。先回投稿の倉崎海岸は
中段に張り出す岬の裏側になります。
龍郷町の写真右隣りでは、東シナ海岸と
太平洋岸が750mと近接した箇所があり、
「二つの海の見える丘」から展望できるとか。

(注)西郷隆盛(号は南州)は維新前、安政の大獄で幕府から捕縛命令が出された時に、薩摩藩から捕縛を回避するための潜居を命ぜられ、3年間奄美大島で暮らしました。流謫地の龍郷にて龍一族の娘、愛加那と結婚し二児(菊次郎。菊子)をもうけました。謫居跡には、ゆかりの品や西郷手植えの桜、勝海舟から送られた碑文などを見ることができます。(龍郷町HPから)

2025年1月24日金曜日

初めての奄美大島その1ー倉崎海岸・奄美クレータ

 1/22ー25には、前から計画していた奄美大島旅行にツアーで出かけました。行き残した地を訪ねる旅の一環です。私にとっての奄美は、最近2021年に長年苦労してようやく世界自然遺産に登録された地であり、西郷隆盛が流された場所であり、田中一村の絵の現実の世界です。また、姪の居住地で地元のマンゴーを時々いただく場所でもあります。羽田からは丁度2時間でした。
初日は、奄美大島北端の「奄美クレータ」と呼ばれる真ん丸の湾(巨大隕石が落ちてできた湾といわれているとか)の西側にある倉崎海岸周辺を散策できました。その日はクレータの西口入口にあるプチリゾートホテル泊で、海に突き出た場所にあり三方が海で日の出も見所です。
奄美の人口は6万人ですが、ハブの生息数は8万匹だそうで(沖縄でも同じハブとの共生を聞いたことがあります)、山間部での夜間外出には注意喚起されました。奄美大島は3000mm/年の降水量で日本一の雨の降る島だそうです。
この日は、8,600歩コースでした。


この日1/23は0713が日の出でした。



倉崎海岸では枝珊瑚が流れ着いています。
地元でもよく箸置きに使われるそうです。

小型のハイビスカス。これもよく見かけます。

Native Sea 奄美。三方が海です。右が奄美
クレータ、左が龍郷湾。

沖には砂の浚渫船が作業中でした。

クマタケラン。この島でよく見かけます。
花は鑑賞用ですが葉には解毒作用もある
とのこと。月桃(げっとう)の仲間のラン科とか。

倉崎海岸。左側に珊瑚が沢山打ち上げられて
います。良い土産です。

奄美クレータ。ホテルの部屋から。

2025年1月19日日曜日

新春「市場deシネマ」の会

 1/18には、新年早々の「市場deシネマ」の映画会に参加してきました。
この映画会は、40年ほど前から続く、近くの横浜南部市場(10年前に市営の中央卸売市場から民営の地方卸売市場に変わっています)の共有施設で開催される自主上映会です。始めは年に数回でしたが最近は年に5〜6回と開催ペースが上がってきました。館長さんも本業ではここの魚の卸売店の経営をされているきさくな方です。主に、環境に配慮、倫理に配慮した食材供給、消費などを扱うことが多いのですが、最近では、人権論、幸福論、時事問題を含め幅が広がっています。United Peapleの配給作がメインです。

今回の上映作品は「RADICAL LOVE~サティシュ・クマール巡礼の旅」というブラジルの2024年の作品でした。「人間は、観光客の立場ではなく、巡礼者として生きるべきだ。また、消費者としてだけではなく、生産にも寄与するアーティストとして行動すべき」という主旨で、自らの体験と今のディープエコロジストとしての実践活動を語るドキュメンタリーでした。なかなか考えさせられる映画で、他でも結構自主的に上映されているようです。

この会は、映画を鑑終わってから、「感想シェア」という時間があり、参加者が自己紹介と感想を述べます。私からは、個人と自然が対峙するものという(植物の種子がその象徴とか)、インド人流の生き方の一端を見た気がした、と話しました。死生観でも、クマールの母親は、体力の限界から死期を自ら悟って断食に入り、見舞いに来た客人と静かに会って別れを告げ、30日で亡くなったそうです。
この日は、6,600歩コースでした。

(参考)紹介記事から

SDGsドキュメンタリー映画上映会 ラディカル・ラブ~サティシュ・クマール巡礼の旅~ 

サティシュ・クマールは9歳の時にジャイナ教の修行僧となり、18歳の時に還俗。ガンジーの非暴力と自立の思想に共鳴し、現代の代表的な思想家、平和活動家、教育者、エコロジストとして70年近くにわたって世界中に影響を与え続けている。冷戦の最中には、核兵器廃絶を訴え平和のためにインドからアメリカのワシントンまで2年半をかけ8,000マイル(約1万2,872km)の平和巡礼を行ったことで知られる。

本作では、これまでのサティシュ『巡礼の旅』を振り返り、サティシュが先人や母、妻との暮らしから学んだ自身の根底にあるものを再確認する。

1973年からイギリスに定住。1991年に設立した、自然から学びホリスティックな教育を目指す先駆的な教育機関シューマッハ・カレッジでは自らも料理し世界各国から集う人々と食事を共にし語り合う。故郷のインドでは、著名な環境活動家であり盟友のヴァンダナ・シヴァと共同設立した生物多様性や種子の保全、有機農業を推進するナヴダーニャの哲学講義で平和を説く。

愛のエネルギーに満ち溢れ、力強い言葉とあたたかいまなざしで、現在も愛と平和のメッセージを伝え続けている。(2024年ブラジル製作 81分)

棉の双葉

 今年は5月10日頃に庭先に種子を植えた棉(わた)の木が、5月末には芽を出し双葉の形をしてきました。昨年収獲した綿花を1昼夜温水につけて綿から取り出した種子を使います。 発芽率は1〜2割で限られた種子しか芽吹きません。ようやく双葉になればなったでだんご虫でしょうか若葉を侵食します...